法人事例
株式会社日出味噌醸造元
営業スタッフがエクセルVBAでシステムを構築
2日分の業務が数分で完了するようになりました
株式会社日出味噌醸造元 社長 河村浩之 桑原聡様
株式会社日出味噌醸造元
本社:東京都港区海岸3-2-9 工場・配送センター:山梨県上野原市上野原8154‐236
創業大正8年(1919年)、売上高5億1,000万円(2011年8月現在)、従業員45名(パート社員含む)。
味噌をメインとした食品加工メーカーとして、
味噌、醗酵技術を用いた調味料・加工食品の製造・販売を行っている。
今回は河村浩之社長、営業部桑原聡様に、現状のエクセルVBA活用方法、
VBA習得による業務改善効果、「エクセルマクロ・VBA達人養成塾」受講の経緯など伺ってみた。
日出味噌醸造元について
- 「日出味噌醸造元」について教えてください。
- 河村 日出味噌醸造元は、大正8年(1919年)に味噌の醸造元として創業しました。 現在は味噌を中心にした食品加工メーカーとして、調味料・加工食品の製造・販売を行っています。 業界内での評価も高く、日本で初めてとなる生味噌タイプインスタントみそ汁の開発、 韓国料理がメジャーではない時代にコチュジャンの製造を先がけて行うなど、 創業以来常に味噌の可能性を求めて挑戦を続けています。 当社の代表商品「みそピー」は50年間愛され続けているロングセラーです。
- どのような販売先があるのでしょうか?
- 河村 当社の加工商品は問屋へ販売され、食品問屋を通して関東を中心に全国のスーパー、小売店の店頭に並びます。
通信販売による個人のお客様への販売もあります。
また、食品加工メーカーへの味噌原料の販売、
原料をある程度まで加工した「半原料」での納品があります。販売先の数も多く、商品、原料、半原材料と販売形態も多様ですので、営業現場での見積書作成は煩雑になります。
また、お客様の指定フォーマットでの伝票作成などもあります。
現在はこれらの業務でエクセルVBAを活用しています。
丸2日かかっていた業務がわずか数分で
- エクセルVBAを具体的にどう活用されていますか?
- 桑原 一例としては、見積書の作成に活用しています。
以前は、「商品コード」「商品名」「JANコード」などの項目を、手作業でエクセルに貼り付けて作成していたのですが、 時間がかかるばかりかケアレスミスも少なくありませんでした。
そこで、「商品コード」を入力するだけで、「商品名」「JANコード」を引っ張ってくるプログラムをエクセルVBAで組みました。
私以外の営業スタッフにも使用してもらい改善点があれば随時修正を加えながら活用しています。
また、他のスタッフの要望もあり、商品別の実績表を作成するプログラムを組みました。当社の基幹システムでは、
お客様別の実績を金額ベースで閲覧できますが、商品別に見ることができませんでしたので、その点の改善のためです。 - 業務にかかる時間を短縮できた例としては、
どのようなものがあげられますか? - 桑原 効率化として効果が大きかった例としては、
毎月ごとの伝票作成があります。
あるお客様から依頼されて毎月作成している伝票があります。
先方指定のフォーマットを使って売掛金を集計するものなのてすが、月末の忙しい時期にかなりの時間を取られていました。
これが、エクセルVBAでプログラムを組んでからは、驚くほど時間を短縮できました。
以前は、毎月末、丸2日間はこの業務につきっきりでした。
それが、エクセルVBAでプログラムを組んだことで、ものの数分で終わるようになってしまいました。
手打ち作業とは違ってミスがありません。
「これまでかかっていた時間は何だったのだろう」と、あらためて考えさせられましたね。
「エクセルVBA達人養成塾」受講にいたる経緯
- 「エクセルVBA達人養成塾」受講にいたる経緯をお聞かせください。
- 河村 小川さんの「エクセル・マクロ・VBA達人養成塾」は、
日頃からお世話になっている方より紹介いただきました。
以前からエクセルVBAのことは知っていて、機会があれば業務改善、
レベルアップのツールとして、社員に使ってもらえればと思っていました。
エクセルVBAを活用すれば、基幹システムに手を加えることなく、
現場主導で仕組みを構築することができます。
基幹システムの変更となると、相応のスキルが必要ですし、
準備から利用できるまで時間がかかり過ぎます。
外部に依頼することにもなり、帳票ひとつの変更でも、十万円単位のコストがかかる。
いっぽう、エクセルVBAは飽くまでもエクセルですから、
仕組みを作ってから利用するまでが早いし、修正も容易です。
しかも社員にスキルを持ってもらうなら、コストは習得させるための費用だけ。
仕事に対する意識の向上につながることも期待し、
社員3名に初級・中級の2日間の講習を受講してもらうことにしました。 - 人選はどのように? また、どうして3名だったのでしょうか?
- 河村 営業部門、総務部門、生産部門からそれぞれ1名づつ、わたしが人選し、受講を勧めました。
各部門に仕組み化を推進できる人間がいるのは心強いですから。
また、これはわたし個人の考え方なんですが、1人だけに習得させてもなかなか組織に定着しない。
お互いに相談したり、教え合ったりできる人数として3人がちょうどいいと思っています。
協力者が周りにいたほうがいいし、金額的にも妥当な値段と思いましたから、これなら3人でと。 - 受講を勧められてどのように思いましたか?
- 桑原 日常の業務でエクセルは使っていましたが、マクロ・VBAのことはまったく知りませんでした。
社長から「こういうセミナがあるから行ってみたらどう?」と言われても何のことやらという感じで(笑)。
続けて、「何十分とかかる作業が数秒で終わったりするんだよ」との言葉を聞き、興味を抱きました。
これは仕事に生かせるなと思ったからです。ぜひ受講させて欲しいと社長に答えました。
小川さんのセミナはスキル以外のことも教えてくれる
- 実際に「エクセルVBA達人養成塾」を受講した感想をお聞かせください
- 桑原 2009年11月、他の2名とともに初級・中級2日間のセミナを受講しました。
「エクセルVBAを使えばこんなことができるんだ」と、とにかくびっくりしました。
セミナの冒頭から「手作業でやっている仕事のほとんどがエクセルVBAでできる」と。
基本編なパターンの組み合わせで顧客ごとの請求書を作成するエクセルVBAのプログラムが動くのを見せてもらったとき、 「基本だけでこんなにできるんだ!」と驚きました。300件の取引データから10社の見積書を作成するのに数秒ですからね。
自分でも仕事に使えたらいいなと思いました。
講座について言うと、エクセルVBAで何ができるかだけではなく、
活用することが会社にとってどのような意味があるのか、
自分自身にとってもどのような意味があるのか、と、そんな話から始まったのもよかった。
マクロそのものの話以外にも、勉強の仕方、集中の方法などの話もあったり。
ただただスキルを教えるだけのセミナとは違う深い内容もので、興味深く感じられました。 - 初級・中級のセミナ受講後、すぐエクセルVBAを活用されたのですか?
- 桑原 いいえ。実は、セミナ終了後の段階では、
「こんなことができたらいいな」というアイデアはありましたが、
どこから手をつけたらいいかわかりませんでした。
日々の業務に追われていたこともあり、当初はどうしても後回しになってしまっていました。
しかし、小川さんからフォローの電話がかかってきまして。
「エクセルVBAの作成はどうなっていますか」と。
それで相談しているうちになんとかマクロを作ることができ、
「これで、やっていけそうだ」という自信を持つことができました。
“はじめの壁”を乗り越えるために――手厚いフォロー体制
- どのようなフォローだったのか詳しくお聞かせください。
- 桑原 受講後のフォローの電話で、上述した見積書を作成したいと伝えたところ、
小川さんから「サンプルのエクセルVBAをメールで送るから、参考にしてみてください」と。
そのサンプルを見ながら作成したものを小川さんに添削してもらう、
それを繰り返すうちにようやく自前でシステムを作成できました。
あのフォローの電話のおかげでもう一歩前に進むことができました。
結果的に、受講後ひと月も経たずに、見積書作成のエクセルVBAを組み、
すぐにわたしを含めた営業スタッフで活用できるところまで到達できました。 - それ以降のフォローはどうでしたか?
- 桑原 その後も、2回ほど、当社に訪問フォローしていただきました。
わからないこと、つまずいているところについての質問事項を準備しておき、
目の前で小川さんに修正、指導してもらうというものです。
セミナーでいただいたテキストやいただいたサンプルプログラムを参考に復習しながら、
目の前でどんどん問題解決をしていく形式です。非常に参考になり、また助かりました。
小川さんのフォローは質問しやすい雰囲気のもので、初歩的な疑問かな、
と思えるようなことでも遠慮なく聞けましたし、
こちらが理解するまで、繰り返し丁寧に指導してもらいました。 - 河村社長は、このフォロー体制についてどのように感じられましたか?
- 河村 非常に満足しています。
エクセルVBAのようなスキルの習得では、はじめの壁を越えるところがどうしても大変ですが、
ここを丁寧にフォローしてくれますから。
聞けば30秒で済むところが自分で調べていると2日かかったりする。
まったくベースがないところから始めると、ちょっとしたことが聞けない。
それこそ、何がわからないのかすら理解できないこともあります。
その壁をひと月でぽんと越えられたのは小川さんのフォローの丁寧さのおかげだと思っています。
エクセルVBAを活用することで仕事観にも変化が
- エクセルVBAを活用するようになって、変化したことはありますか?
- 桑原 仕事観に変化がでてきたように感じます。
常に意識しているのは、「誰がやっても間違えない」
「短い時間で同じ効果を出せる」ようにするにはどういう仕組みを作ればよいのかということです。
良い仕組みを構築するためには、業務の本質を理解しなければいけません。
これまで以上にそういう思考を働かせている中で、エクセルVBAを使うシーンにとどまらず、
仕事のあらゆるシーンで、理論立て、順序立てて考える視点が強化されたように思います。 - そういう思考の延長で、営業活動の仕方も変わってきました。
商談前にシミュレーションをし、お客様の反応を予測、
対応策を立てて商談に臨むのは当然のことです。
それは以前からやってきていましたが、反応を待つばかりではなく、
商談をどのように組み立て、終着点をどこに持ってくるのか。
商談後に迅速に行動に移すためには何が必要かなど、
そういうことをプログラムを書くようなロジックで意識するようになりました。 - 河村社長からはどう感じられますか?
- 河村 私も、小川さんのエクセルVBA講座を受講した社員の、業務を理論立てて考える視点、
「作業」と「仕事」を切り分けて見る力の向上を実感しています。
経営者の立場から見れば、「作業」と「仕事」は違います。
販売実績の集計や会議の資料作成といった「作業」は価値を生みません。
「作業」をすることが目的になってはダメで、本当は、その結果をもとに課題を見つけ、
今後の方針を定め行動する、「仕事」のほうに時間をかけたいわけです。
日ごろの改善活動で「作業」に相当する部分をプログラムに置き換えていく中で、
「作業」と「仕事」を見極める力がついてきているということだと思います。 - その後、桑原さんは上級セミナーも受講されたということですね。
- 河村 はい。桑原のほうから受講したいとの申し入れがありました。
マクロで作ったシステムを不特定多数で利用するための仕組みづくりのノウハウを習得できるということで、受講してもらいました。
個人で使う分には本人が使いやすい体裁であればそれで良いのですが、
使いやすいインターフェースがあることで、不特定多数で利用できる、
より社内に浸透するシステムを作ることができます。その点を期待しました。 - 上級セミナーでのノウハウは、どのように活用されていますか?
- 桑原 先日は、工場への発注・出荷システムの機能改善をしました。
一部の商品では贈答品としてギフト包装をする場合があります。
これまでの発注書は、ギフト包装の有無にチェックが入っていなくても起票できました。
しかし、チェックが入っていない場合は、
包装をするのかどうか現場から担当者に都度確認を取らなければならない状況でした。
それでは無駄な時間がかかりますし、ケアレスミスも生じます。
そこで、エクセルVBAの「イベント」という機能を使って、商品出荷の際、ギフト包装の有無を記入するチェック欄にチェックが入っていなければ発注書作成時に警告をするようにしました。
日々、こういった小さな改善をしていく中で、誰がやっても間違えない仕組み作りをしています。 - その他には、どのような改善活動をされていますか?
- 河村 先日、社内への浸透という意味で、桑原と一緒に初級・中級のセミナを受けた総務部門の鈴木とふたりで、社員向けの講習会を開かせました。
「社員向けの講習会」と言っても、きちんとしたトレーニングをするわけではないので
「他の社員がマクロを書けるようになった」とかさすがにそういうことはありません。
しかし、講習会を受講した他のスタッフから「もしかしたら、こんなことができるの?」
といった問い合わせを受けて、それが次に作るシステムのアイデアになったりといったこともあるようです。着実に社内に根付いていっていますね。
研修の導入を検討中の方へ
- 研修の導入を検討中の方へのアドバイスをお願いいたします。
- 河村 エクセルVBAを利用するメリットは、基幹システムの変更を伴わず、
低コスト、短納期でシステムを構築できることです。
研修を受講したスタッフに開発させることで、外注のコストもかかりませんし、
なにより開発から導入までのスピードがとても早い。
さらに、エクセルVBAは、現場の人間をレベルアップさせるための武器になります。 - 意識の高い社員は、業務を改善し効率化を図りたいと考えています。
しかし、せっかくそういう意識を持っていても、そのための道具も予算もなく、
どうにもならないというのが多くの現場での実情でしょう。
そんな社員にエクセルVBAというツールを渡すことで、実際に彼ら自身に仕組み化を行わせ、
「まる2日かかっていた作業がものの数分で終わる」というレベルの改善を自分達の手で実現させてあげることができます。 このインパクトは相当なものです。 - しかも、自分の仕事の流れを構築し、自分で仕組みを作っていくという体験を通じ、
「改善の視点」、「仕事観」といった、すぐに数字には表れないが仕事の本質に関わる能力も成長させることができます。
レベルアップのための武器を現場の人間に持たせたい方、組織全体の底上げを希望する方にも、
研修の導入をお勧めしたいです。 - 本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
- ※ 株式会社日出味噌醸造元ホームページ
※ 取材日時 2012年9月:肩書は当時
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