「ウメボシがあなたの目の前にあることをイメージしてみてください」
イメージ力について語るセミナーでよくある言葉。
参加者がみな、ウメボシを頭に思い浮かべる。
「ウメボシをイメージできた人、手を上げてください。」
すべての人の手があがる。
「そして、そのウメボシを、口に入れます…。舌の上で、転がします…。」
参加者がみな、その様子を頭に思い描く。
「口の中で唾液が出た人、手を上げてください。」
ほぼ、すべての人の手があがる。
このとき。
すべての人が同じ体験をしたのだろうか。
実は、そうではない。
ここで、参加者のうち、隣同士の2人に声をかける。
「Aさん、Aさんがイメージしたウメボシ、どんなウメボシだったか、
説明できますか?」
Aさんは、「はい」と答える。
そして、Aさんにさらに問いかける。
「それでは、Aさん、Bさんがイメージしたウメボシ、どんなウメボシだったか、
説明できますか?」
Aさんは答えます。「分かりません」
つまり。
同じように「ウメボシを思い浮かべました」「よだれがでました。」と
答えたとしても、各人の脳の中で起こっていることは、まったく違う。
あの人の脳の中では、あなたの脳とはまったく違うできごとが
起こっているのかもしれない。