世の中には、多くの師弟関係がある。
この師弟関係は、学問、武道に限らない。
スポーツのコーチと選手、会社の上司と部下、親と子供、様々なケースに当てはまる。
ところが、そのパターンは、実は、以下の3種類しかない。
以下の図で、赤い横線は、セルフイメージを表す。
そして、2つの○がある。左上のは、師匠、右下は弟子である。
ある人が赤い横線より上にいる場合は、セルフイメージが高く、赤線より下にいる場合は、セルフイメージが低い。
パターン1
師匠、弟子共にセルフイメージが高いパターン
パターン2
師匠、はセルフイメージが高いが、弟子はセルフイメージが低いパターン
パターン3
師匠、弟子ともにセルフイメージが低く、自分に満足していないパターン
————————————————
パターン1は、理想の状態である。
セルフイメージの高い師匠は、弟子の成長を恐れない。
むしろ、弟子の成長を歓迎する。
このパターンのときは、お互いが信頼し合い、人間関係も良好になる。
パターン2は、やや問題である。
これは、師匠はともかく、弟子は、どちらかというと、いわゆる「病んでる」という状況。
神々しく輝いて見える師匠を見つけ「師匠!私をそこまで引っ張って~!私をそこまで引っ張って~」と、しつこくせがんでいる状態だ。
師弟関係が依存的で、関係としてはあまりよろしくない。
たいてい、師匠が弟子を手放して次のステップに向かってしまうか、弟子が、自分を引き上げてくれないことに不満を言って関係は解消される。
それでも、物別れに終わるだけで、どちらかがどちらかの邪魔をしているわけではないので、それほど深刻な状況ではない。
パターン3が、今日のメインテーマ。
実は、セルフイメージの低い師匠を持ってしまうと言うのは、弟子の側にとっては最悪のシナリオである。
師匠のセルフイメージが低いとき、師匠は、弟子に決して最高の教育は施さない。それどころか、弟子の成長を無意識に阻害しようとする。
それはどうしてかというと、師匠の側は、弟子に成長されると、バカにされそうな気がして潜在的に怖いのだ。
(師匠のセルフイメージがもともと水準以上の場合は、そういうことにはならない。弟子が自分より成長しても、「よかったね」で終わりだ)
そうすると、セルフイメージの低い師匠はどうしようとするのかというと、とにかく、弟子を自分より劣った対象として扱いたがる。また、弟子が「自分は師匠には及ばない劣った存在だ」と自分を認識するように仕向ける。
そういう師匠は、実は、自分の低いセルフイメージよりもさら格下な存在としてあなたを扱うことができないと、落ち着かないのだ。
むやみやたらに小言を言う師匠、「おまえはダメだ」「おまえはまだ半人前だ」「おまえにはまだ教えられない」「おまえにはムリだ」というようなことをやたらに言う師匠には要注意である。
そういう師匠についている限り、いつまでたってもあなたには日はあたらないだろう。
本当は、そういう師匠からは別れ、あなたの潜在能力を認め、セルフイメージをしっかりと高めてくれる師匠を見つけるべきなのだが。
ただ、「だったらそんな師匠とは別れてしまえばいい」と言いたいところなのだが、なかなかそうもいかない。
なにしろ、弟子の側も、セルフイメージが低いのだ。だから、そうやって「ダメだ、ダメだ」とばかり言われている状況が、自分のセルフイメージに合っているので心地よかったりもする。
ちなみに、図示はしないが、パターン4として、
「師匠のほうはセルフイメージが低く、弟子のほうはセルフイメージが高い」というケースもある。
この関係も長続きはしない。弟子のほうは、師匠の持つスキルのうちおいしいところを取っていったら、それ以上の魅力は感じていないのですぐに別れてしまう。
ただ、このパターン4でも、セルフイメージの低い師匠とあまりしつこく関わっていると、弟子であるあなた自身のセルフイメージも下がってしまい、気がつくとパターン3のような状況に陥ってしまうということがある。
誰かを師と仰ぐときには、その人のセルフイメージの在り方に十分に気をつけて欲しい。
そうでないと、あなた自身が成果を出すために師についたのに、結果として、あなたの成長の可能性を師匠に摘み取られ、あなたは潰されることになってしまう。
前述の通り、この師弟関係は、学問、武道に限らない。
スポーツのコーチと選手、会社の上司と部下、親と子供、様々なケースに当てはまる。
なので、例えば、あなたがもしも会社の上司にいつも小言ばかり言われているようであれば、一度、その上司のセルフイメージはどうなのか、その上司は、そもそも自分に満足しているのかどうかといったことを観察してみる価値はあるだろう。