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パソコンスキルの心技体

「知的生産能力、特に抽象思考力向上を目的とした、人工知能によるパソコン作業添削指導サービス」-ものづくり補助金事業計画書その3

2019年1月3日
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事業計画概要

本事業の具体的な取組内容について、以下の順序で記述する。
【1. 申請事業の概要】
【2. 弊社の概要】  
【3. 申請事業が解決したい課題】  ←今回の内容
【4. 課題の解決方法、申請事業の詳細】
【5. 本事業の社会的必要性と、技術的革新性】
【6. 対象となる市場】
【7. 将来の展望】


【3. 申請事業が解決したい課題】

本事業は、社会人の能力評価、能力開発を目的とする。
とりわけ、オンライン講座上での抽象的思考力、実務能力の評価と、これらの能力の向上支援にかかるものである。抽象的思考力、実務上の作業能力の両方を測る方法として、パソコン上で解決すべき一定の課題を受講生に提供し、その成果物を見るという方法がある。

例えば、受講生に対し、複雑な工程を経て完成するエクセルやパワーポイントでの資料作りや、プログラミングの課題を提供する。
すると、受講生は、最終成果物に比してより低度に抽象的な思考や実務上の作業を組み合わせ、その最終成果物を作り上げる。課題出題者は、受講生が提出したその成果物を確認すれば、その受講生の抽象的思考力、実務上の作業能力をある程度判断できる。

例えば、エクセルマクロでのプログラミングの課題として、以下の表において、B列に記入された苗字と名前をC列とD列に分割するという問題を出題したとする。

図2. 出題例

上記課題の模範解答例は以下のようになる。

図3. 模範解答例

 

上に紹介したプログラムとほぼ同等のものを自力で書ける受講生については問題ない。この課題を解決できる能力があると判定し、自信を持って先に進んでくださいとアドバイスできる。

その一方、受講生から、以下のような回答を受け取ることがある。

図4. 模範とは言えない解答例

図4のプログラムは、目的通りの動作をできない。また、仮に目的通りの動作をできたとしても、これでは合格とは言えない。なぜなら、提出されたプログラムは期待通りの動作をするか?ということ以前に、プログラムの形状が、模範解答例と大きく異なっているからである。

正しい作法で、最短の工数で目的の機能を実現できる工法をとれば、このようないびつな形のプログラムができ上がることは決してない。言い換えれば、この成果物は、この受講生が、この成果物を作り上げるまでの多くのタイミングで、理解不足、抽象的思考力の不足、あるいはパソコン操作スキルの不足から、誤った状況判断(抽象的思考力の問題)や操作ミス(実務上の作業能力の問題)をくり返してきたということを示している。

この受講生は、「抽象的思考力」、「実務上の作業能力」の両方においてこの課題を解決できるだけの力をまだ有していない。このままの状態でより難しい課題にチャレンジさせても挫折するだけであるから、次に取り組む課題としては、より低レベルのものを提供するよりない。

つまり、この受講生は、この課題が要求する「抽象的思考力」、「実務上の作業能力」に比してより低レベルの「抽象的思考力」、「実務上の作業能力」をまずは身につけるべく、より低レベルの課題から演習をやり直すべきである。


熟練した講師であれば、上述のように、受講生から提出された最終成果物を見るだけで、その受講生の抽象的思考力、実務上の作業能力をある程度判断し、これだけの指示を出せる。

※なお、このような、最終成果物を見てスキルを評価する方法を、本事業計画では、「「静的態度」でのスキル評価」と呼ぶことにする。「静的」とは、静止した状態のものに対して判定を行うという意味である。

ところで、このような「成果物を見てその内容を評価する」という静的態度の評価方法は、簡便ではあるが、同時に、以下の限界もある。

[1]  受講生が、最終成果物に至るどの段階で、どのような抽象的思考、あるいは
   作業に行き詰まりを感じたのかを正確に判断出来ない。
[2]  受講生が最終成果物提出を断念した場合、評価を行うことが出来ない。
[3]  [1]、[2]から、その受講生により好適な次に取り組むべき課題を適切に
   判定・提案できない。

これら[1]-[3]について上に挙げた図4の事例を引用し補足説明すれば、以下の通りである。

[1] 受講生が、最終成果物に至るどの段階で、どのような抽象的思考、あるいは作業に行き詰まりを感じたのかを正確に判断出来ない。

本事例では、受講生は、課題に着手した直後のかなり早い段階から誤りを犯していた。そして、その段階で講師から誤りについて具体的に指摘を受けるべきであった。

しかし、この受講生が、この課題の解決のために、何から手をつけたのか?そして、どの段階で最初のミスをしたのか?といったことは、提出された最終成果物からはうかがい知ることはできない。

 

[2] 受講生が最終成果物提出を断念した場合、評価を行うことが出来ない。

本事例では、受講生は、「目的通りの動作をできるプログラムを書けなかった」というコメントを添えてこの最終成果物を提出してきた。

しかし、最終成果物を提出してきたならまだ良いが、そのような状況であってもすべての受講生が最終成果物を提出してくると限らない。また、受講生が、最終成果物に至るよりも大分前の段階で挫折してしまっている可能性もある。その場合、支援の手を差し伸べることができない。

 

[3]   [1]、[2]から、その受講生により好適な次に取り組むべき課題を適切に判定・提案できない。

本事例では、この受講生に対しては、その一挙一動に対して細かく修正点を示し、その修正点について学べる教材を示すべきであった。
しかし、一挙一動を観察していない以上、また、受講生自身も自分自身の一挙一動を記憶していない以上、講師の側は、「この課題より前の、ここからここまでの教材でしっかり復習をしてください」という程度のざっくりとしたアドバイスしかできない。

または、受講生と問答を重ね、具体的にどのような理解不足、あるいは操作スキルの不足から解消していくべき?そして、その問題解消がこのレベルの課題を解決するためにどのように役に立つのか?ということについて理解させ、行動させることもできる。が、これには大変な工数がかかる。

上記[1] – [3]のとおりなので、このような講座では、「成果物を見てその内容を評価する」という静的態度ではなく、「成果物を作る過程を観察し、その様子を評価する」という動的態度で受講生を支援するほうがより好ましい。

※このような、最終成果物を作成する様子を見てスキルを評価する方法を、本事業計画では、「「動的態度」でのスキル評価」と呼ぶことにする。「動的」とは、動きのある状態のものに対して判定を行うという意味である。

このような動的態度での支援を行うには、対面講座は、オンライン講座よりも好適である。対面講座であれば、十分に経験を積んだ講師が直接的に関わることで、そのような動的態度で受講生を支援することができる。

とはいえ、対面講座にも、「時間と場所の制約がある」、「十分に経験を積んだ講師を確保しなければならない」といった問題がある。上記のような事情から、対面講座を用意すればこの問題を解決できるということにはならない。

オンライン講座でも、「動的態度」で受講生を支援する仕組みが求められる。その仕組みは、人力に頼らず、ITシステムによって自動的に行われる支援であればより好ましい。

そこで、以下に記載する方法によってこの課題を解決する。


事業計画書【4. 課題の解決方法、申請事業の詳細】に続く。

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