エクセルマクロ・VBA達人養成塾 小川です。
2011年の国際特許出願件数について
「国際特許、中国企業が首位=パナソニック2位に後退」という記事がでてました。
「中国通信機器大手の中興通信(ZTE)が企業別で1位となり、2年連続首位だった日本のパナソニックは3年ぶりに2位に後退した」とのこと。
国別では、米国(4万8596件)が首位を堅持。次いで日本(3万8888件)、ドイツ(1万8568件)、中国(1万6406件)の順。
前年比伸び率では中国が33.4%増、日本21.0%増。
ただし、「出願件数」についてのお話で、特許の数ではないので注意。
僕も前職のWeb系ベンチャーで知財関係の仕事をしていましたし、辞める直前くらいには、「20週で20件以上」なんてペースで、国内、海外で特許出願していたので、こういう記事には思うところあります。
ということで、以下、思うところを書いてみます。記憶違いとかはないとは思いますが、何かあれば、ご指摘いただけばと。
「PCT出願」というのは、ひとつの出願願書を条約に従って提出するだけで、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度。
そのあと、一定期間内に各国の特許庁にすれば、PCT出願した日をもって、その国での出願日とすることができます。
特許は基本的に「先願主義(先に権利主張したもの勝ち)」で国ごとに付与されるものなので、出願日としてなるべく古い日を確保することは重要です。
ですが、各国語で、各国特許庁に出願していると時間がかかってしまうので、「特許協力条約(PCT : Patent Cooperation Treaty)」の加盟国間では、こんなやり方でやりましょう、ということになっているわけです。
..ということで、国際的な企業では、見込みが少しでもありそうな発明であれば、基本的に、「とりあえず、PCT出願しておけ!」ということで、国際出願するわけです。
特許出願件数は、その会社なり、国なりの、技術力の高さのひとつの指標となり得ます。
で、今回、その特許出願件数で「2年連続首位だった日本のパナソニック」が陥落し、「中国通信機器大手の中興通信(ZTE)」が1位になったとのこと。
技術者にとっては、弁理士さんに書いてもらうにしても、技術について説明したり、ドラフトしてもらった特許明細を読み直したり、とするのは、大変な負担です。
僕の場合、頭の中から、その文書以外のことはすべて排除して、ひとりで会議室にこもって、集中力を最大にして赤ペン片手に読んでいく感じ。
HDDに保存されているデータがPCのメモリに読み込まれていくような気分でした。
イイタイコトをきちんと表現できているか、技術的に破綻はないか、考えられる迂回路はきちんとつぶされているか。
特許出願の範囲に漏れはないか。
そんなことを気にしながら、ひたすら読み込みます。
間が空くとやり直しになってしまうので、一気にやるしかないです。
ひととおり終わると、すっかりボロボロ。
ヨレヨレしながら事務仕事を片付けて、おしまい。前後に会議とかがあると相当にキツいです。
そんな中、どうして、「20週で20件以上」なんてペースで、国内、海外で特許出願できていたのかというと。
やはり、エクセルVBAで自作した特許管理用ファイルを用意し、それを使って「日付の管理」とか、「出願状況の管理」、「この未公開出願案件は、N社に公開済みか」とか、そういう情報を管理していたからです。
自分の仕事に必要な列以外は非表示にしたり、向こう○ヶ月分の「国際出願締め切り日」とかの日付が分かるようなリストを作ったり。
そんな作業を、すべて自動化していました。
当時、もしも僕がプログラミングのスキルもないただの事務屋だったとしたら(てか、Web系のベンチャーにいたという時点で、そんなことそもそもあり得ないのですが)、あの仕事量では、事務作業だけでとっくに破綻していたと思います。
でも、それは逆に言うと、ちょっとしたプログラミングスキルを手に入れるだけでも、本来もっと大事にしたい仕事にエネルギーを注げるようになるということです。
技術者の体を空けるためにも、「エクセルマクロ・VBA」は、重要だと思います。