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ステロイド剤による「薬剤惹起性うつ病」

2011年6月29日
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エクセルマクロ・VBA達人養成塾 小川です。

http://www.exvba.com/vb/index.php

今日のブログ記事は、「エクセルマクロ・VBA」とか「勉強法」、「キャリアアップのヒント」のような話に興味があって来られている方にとっては、あまり興味ないものかもしれません。

2008年、日本精神神経薬理学会「重篤副作用疾患別対応マニュアル」で、「薬剤惹起性うつ病」について記載がされたそうだ。

今日、インターネットをしていて、たまたま知った。

関連資料は、以下のリンクから取ってくることが出来る。
http://www.jscnp.org/j_manual/index.html

記事を読んでいて、10年ほど前の、人生でもっとも重苦しかった時期のことを思い出した。

2001年頃、僕は、突然、東京都から難病指定されている腎臓病「ネフローゼ症候群」を患い。
そのまま、半年入院した。

入院直後から、副腎皮質ステロイド薬の「プレドニゾロン」を大量投与された。

そして、すぐに、性格がおかしくなった。

自分がおかしくなっていることに気がついたのは、投薬開始から1ヶ月半くらい経ったころのことだった。

なんとかそれを自覚して、入院先の病棟で内科医の先生や看護師さんに訴えたのだが。
ステロイドでそこまでおかしくなることはない」と、まったくとりあってもらえなかった。

それでも、いちおう精神科にもかからせてもらっていたが、「入院中という特殊な状況で、気分が高揚しているんでしょう」とか、その程度のことしか言われなかった。

当時は、ステロイドによる「薬剤惹起性うつ病」なんて、医者も念頭に入れてなかったのだろうと思う。

ステロイドを大量に投与すると、どうなるのか。

今回は、自分の経験をあれこれ書くのはやめて、以下、日本精神神経薬理学会が発表しているレポート内にある、「典型症例概要」から転載。
僕の場合も、出てきた精神的症状はだいたいこんな感じです。

【症例2】 40 歳代、女性 既婚、明るくまじめでがまん強い性格突然、右手の脱力と運動失語が生じた。
脳血管障害を疑われ神経内科へ入院した。
精査の結果、全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された。
SLE の治療目的で 40mg/日のプレドニゾロンが開始された。

その1 ヶ月後に抑うつ状態を呈し、自殺念慮、不安感、焦燥感、食欲低下、不眠が出現した。

この時点で既に SLE の活動性は低下していたため、抑うつ状態は SLE の精神症状というよりはむしろプレドニゾロンの副作用と考えられた

そのため30mg/日へ減量されたが改善を認めず、内科治療にも拒否的となり、離院を試みたために精神科へ入院した。

入院後、マプロチリンやミアンセリンなどの四環系抗うつ薬を順次開始したが、いずれも効果なくむしろ焦燥感や自殺念慮が増悪し、自殺企図を繰り返した

そこで、気分の安定化を目的にリチウムを 600 mg/日から開始したところ、数日以内に改善した。
しかし、SLE に伴う腎機能障害のために、増量せずとも血中リチウム濃度が 0.4 mEq/L から 0.8 mEq/L へ上昇した。
さらに、手指振戦が粗大になったので、いったんリチウムを中止した。

その結果、まもなく抑うつ状態は再燃し焦燥感や自殺念慮も顕著となった

今度はリチウムを 400 mg/日から再開したところ、血中濃度は 0.4 mEq/L で抑うつ状態も改善した。
その後、精神状態はさらに安定し、患者は自ら進んで歩行訓練を始めるようになった。
リチウム 400 mg/日とプレドニゾロン 20 mg/日を継続しつつ、入院から 2 ヶ月後に退院した。
退院 6 ヶ月後、プレドニゾロンが 10 mg/日へ減量された時点でリチウムを中止したところ再燃は認めなかった。
さらに退院 3 年後、経過を尋ねたところ、プレドニゾロンは 5 mg/日へ減量されており、患者はリチウムを服用する必要もなく精神的に安定していた。

僕の場合は、自殺企図はなかったが、自殺念慮はずっとあった。
何をもって「精神的に安定」と言うかは分からないが、僕の場合は、3年ではまったく安定しなかった。
5年くらいはかかったと思う。

投薬治療を開始したあたりから激しい躁鬱状態になり、仲の良かった友人から、どんどんいなくなっていく。

「自分はこの世に存在してはいけないのだ」と思い始め、死にたい、誰か殺してくれ、と考え始める。

そしてあるとき、「薬のせいなんじゃないか」と疑ってみる。

それで、少しだけ、自分に対する希望を持つ。

でも、薬を減らしていっても、自分の性格がおかしいのは変わらない。

医者が「かなり少ない分量だ」と言うような量になっても変わらない。
そのうち、「もともと自分はこういう人間だったのだろう。」と認めざるを得なくなった。

その後ずっと、「自分はこの世に存在するだけで悪だから、誰かすぐにでも排除して欲しい」と、思い続けていた。
よく、あの時期に死ななかったものだな。

気持ちがだんだんと落ち着いてきて、気分や感情、行動がブレにくくなってきて、「ひょっとして、自分もこの世にいていいのかもしれない」と思えるようになるまで、何年もかかった。

最初から、「薬の副作用だ」ということになっていたら、話はだいぶ違ったと思う。

自分と同じような目に遭う人が今後減ってくれれば、と、切に願うところだ。

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コメント

14 thoughts on “ステロイド剤による「薬剤惹起性うつ病」

  1. 1. 私の師は、医師ですが
    他の医師によるステロイドの処方によって、いきなり首から下が麻痺してしまって動けなくなりました。
    抑うつ状態になっても、自殺すら出来なかったと言っていました。
    今、元気に生きていてありがたいですね。
    http://ameblo.jp/kenshoudou/

  2. 3. 私も、ステロイドで。。。
    花粉症がひどくなり、ステロイドが投薬されていたことを知りました。

    やっぱり、気分が鬱になっていました。
    原因がわかり、ホッとしました。
    http://ameblo.jp/shikakuwotoru/

  3. 4. 難病って。。。
    難病ってホント大変、、、
    しかしながら
    人生を見つめる事ができたり
    素敵な学びに出会えたりと
    人生にとって後から考えると+の事も出てくるかも、、、
    (私は免疫病と5年目にして、、やっと上手く付き合えるようになってきた)
    あなたとの出会いもキット何か意味があるんだろうな~!!
    今度色々、お話聴かせてください。
    http://ameblo.jp/acu-trea/

  4. 5. コメントありがとうございます。
    いろいろ、あるものですね。

    すべての厄災を避けることはできない、ということかもしれません。

    今、自分にとって、その経験にどういう価値があるのか。
    そのことにいつもフォーカスしていたいです。
    http://ameblo.jp/kanjizaibosatsu/

  5. 6. こんばんは
    初めてネフローゼ症候群について調べてみました。治療として主にステロイド、免疫抑制剤を使いながら経過をみていくみたいですね。

    他にも血栓が出来やすいために、血栓が出来にくい薬を服用したりビタミンも失われやすい?など、症状は薬の副作用以外にも色々とあるんだと思いました。ネフローゼ症候群について調べて感じたのが、専門的な知識がある人でないと簡単に理解してもらえる内容ではないと感じられました。

    持病との付き合い方、向き合い方、考え方は皆同じではないと思いますが、きっと不安感や心配も多いかと思いますし、何かと大変だとおもいます。本当に。

    日常生活の中で、こんなことをしている時が一番、体も気持ちも安定しているなって感覚を感じた時に『どの場所だったか、どんな人か、どんな色だったか、どんな香りがしたか。』など…。こんな感覚がよみがえってくると、体調も寛解状態が続くのかと私はおもいます。

    思考と体感のバランスって大事に思えてきました☆

    また定期的にブログを見ていきたいと思います。テーマにそって、これからも考えていきたいと思ってます。

    色々な体験や考えをされている様なので 勉強になります。

    長々とすみませんでした。
    http://ameblo.jp/rakuten-0220/

  6. 7. Re:こんばんは
    >カモミールさん

    ありがとうございます。

    お返事遅くなりました。

    いろいろな経験をしているというのは、研修講師としてはいいことなのではないかとも思います。

    当時は大変でしたが(汗
    http://ameblo.jp/kanjizaibosatsu/

  7. 小川さん、はじめまして。突然失礼いたします。実は3年間夫婦同然に暮らしていた婚約者が半年前に自死しました。54歳でした。彼は3年前に微小変化型のネフローゼ症候群を発症し、50日の入院を余儀なくされました。プレドニンやネオーラルなどの数種類を長期にわたり服用していました。いわゆるステロイド製剤とは明らかに人の精神を蝕んでいくのではないでしょうか。小川さんの記事に出会うまで私は彼の自死が受け入れられず、毎日彼の後を追うことしか考えられませんでした。なぜ、どうしての繰り返しと、自責の念に苛まれる日々です。担当医に話をすべきでしょうか。

    1. お返事遅れました。

      それは、キツい体験ですね。。その後どうされたのでしょうか。

      ステロイド禍についての互助グループとかあるかもしれませんね。
      体験をおひとりで抱え込まないほうがよいかとは思います。

  8. コメントを書いている前日に自殺しようという気分になり、ツイッター上の知人にたくさんの暴言を吐いてしまい、むせび泣いていたときに、この記事をしりました。

    本当に、この通りです。プレドニゾロンのせいで人生がボコボコになってしまってる。共感してもし足りないです。

    1. 今まさに入院中。32女です
      プレドニン朝20と昼も20
      フロセミド40
      プラケニル200
      ニフェジビン 朝と夜20
      ランソプラゾール15
      セルセプトカプセル朝と夜に250

      発症は3年前
      2回目の入院
      全身性エリテマトーデス
      今回プラスでループス腎炎
      腎生検ひかえてます

      色んな些細なことが重なり、精神的に不安定ですが人に助けを求めれないタイプです

      過去に兄が自殺してます
      母親と兄もそれぞれ自立していてそれぞれが遠方でまだ入院中に会えてません
      親は離婚しています

      元々、未来に希望はないですが何とか笑顔で乗り切れる所は乗り切ってきましたが、
      せっかく仕事も正社員で入れたのに、我慢して働いていたら悪化しました

      もし今、精神科に申し出たら支障が出るかとか考えだすと一発で死ぬしかないなと思うほど追い詰められてます。

      お見舞いに来てくれた人にも大丈夫だよーって笑顔
      看護師さんにも助けを求めれず

      自分自身の存在を消したい
      考えたくない
      変に生き残って、迷惑もかけたくない
      人の記憶から消えたい

      人から弱いと思われることが恐怖すぎて
      今日決行しようか悩んでます
      一発で行きたいと思います

      アドレスは繋がりませんごめんなさい
      最後に吐き出せてよかったですありがとう

      1. コメント読みました。
        勇気を出して書いてくれてありがとう。

        以前の自分のことを思い出しつつコメントを読みました。

        僕はあなたのことを存じ上げないですし、具体的な状況については想像するしかできません。

        できることも限られています。
        コメントにお返事することくらいしかできません。

        いろんな形の勇気があると思います。
        命を絶つための行動というのも、そんなひとつかもしれません。とても大きなことです。

        僕も、かつて、ずっと、死にたいと思っていました。
        でも、僕は、そこまではできませんでした。勇気が足りなかったのでしょう。当時の僕は、生きることを呪い、そして死ぬこともできない自分を呪いました。

        どうせ死ぬなら…というか、人はいつか死ぬものですし。
        その前に、「人に助けを求める」ということも、もう少しだけ、試してみてもよいかもしれない。

        そんな風には思いました。
        ちょっとまだ、もったいないです。たぶん。

        あなたのために祈ります。
        あなたに、人に助けを求める勇気か、そうでなくとも、試しに、ちょっとだけ、人に助けを求めてみるくらいの勇気が神様から与えられんことを。

        プレドニンは、本当に、性格を根本から変えてしまいます。
        そしてまた、その人の性格の、弱いところ、うまくいかないことろが強調されるように、巧みに人の性格を変えます。

        あなたも僕も、いつか死にます。
        先にステロイド禍から抜け出した身として、僕は、あなたに、今生中に、ステロイドから完全に離れられたあなたにもういちど戻ってもらえることを願います。

        忌まわしい薬とともにあなたに取り込まれてしまった呪いから、無事にあなたが開放されますように。
        故意にも、偶然にも、あなたがこの呪いに屈してしまうことのないように。
        そして、禍からの開放に至る、ふさわしい導きがありますように、神様に祈ります。

  9. 私のコメントに返信をしてくれなかったことがとても悲しくて悔しいです。

    1. お返事、抜けていますね…。
      投稿したつもりでいたのか、なんらかの事情があってお返事さしあげなかったのか…。どうだったか、かなり前のことで記憶にありません。

      ともあれ、特に他意はありません。

      ステロイドでの薬剤惹起性うつ病がどんなにしんどいかということは身を持って存じ上げています。

      一方、僕はブログでのコメント等への対応についてはいい加減な人間なので。

      Facebook見ていただければわかりますが、コメントへの返信とかほとんどしていません。
      というか、できません。
      https://www.facebook.com/keiichi.ogawa

      昔は無理してお返事していたのですが、自分に無理をしいると他のところでできるはずのことができなくなったりするので、「必ず返事をする」というのはやめにしました。

      これは見る人によっては僕の欠点と感じられることかもしれませんが、直せないものなので、僕のことは、「コメントに返信する能力のないダメなヤツ」と思って取り扱っていただければと思います。

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