加速学習を成功させる要件のひとつに、「同じ作業は変化をつけながら行う」というのがある。
これはどういうことかというと。
まず前提として、実は、人間の脳には、一度に覚えられる似たような物事は7つまでだという特質がある。
一般に、「マジカルナンバーセブン」と呼ばれるしきい値だ。
例えば、「七つ道具」「七つの海」「七不思議」「七色」「七福神」といった言葉には「たくさんの」というニュアンスがあるが、「数えられる範囲で」という感じで、「なにもかも」「数えられない」「無数の」というニュアンスは持たない。
ところが、「八方ふさがり」「八方美人」「八つ裂き」など、「8」という数字が絡んでくる言葉はどうだろう。
これらは、一般に、「数え切れないくらいの」というニュアンスの言葉になる。
こういう言葉に不思議な差があるのは、偶然でもなんでもない。
7個までは数えられ、8個になると数え上げきれなくなるという人間の脳の性質がそのまま言葉に反映されているだけなのだ。
ここで、ちょっと遊びを。
試しに、「八つ道具」「八つの海」「八不思議」「八色」「八福神」という言葉を作ってみよう。
急に、とっつきにくい数になった気がしないだろうか。
もっと極端にしてみよう。
「十二つ道具」「十二つの海」「十二不思議」「十二色」「十二福神」だったらどうだろうか。
おそらく、もうあなたはお手上げだろうと思う。おそらくこれを全部覚えたいなんて思いもしないだろう。
だから、あるところから単語を同時に12個覚えようとするのは、基本的にナンセンスだ。
例えば、単語を20個覚えなくてはならないとしたら、「海」というひとつのカテゴリから20個を選んで覚えるよりも、5つのカテゴリ、例えば、「七つ道具」から4つ、「七つの海」から4つ、「七不思議」から4つ、「七色」から4つ、「七福神」から4つの単語を覚えていく方が格段に簡単になる。
これと同じことが、その単語を覚えようとしたときの「場所」とか「時間」とかにもあてはまる。
例えば、どうしても「二十の海」からすべてを覚えなくてはならないのだったら、朝、朝食前に5個。午前中、散歩に出た先で5個。昼、昼食前に5個。夕方、友達との待ち合わせに使った喫茶店で5個。夜、夕食前に5個。という感じで時間と空間をこまぎれにしていくと、「ああ、あのとき覚えたあの単語か」ということで、それぞれの単語に関連づけられた時間や場所の記憶が作れるので単語を簡単に覚えることができる。
達人養成塾のセミナーでも、休憩を入れるタイミングは、時間が一定時間を経過したかということよりも、「これ以上一度に受講生に情報を与えてしまうと、詰め込み素になってしまわないか」という判断を基準にすることがある。
そういうときには、さっき休憩が終わったと思ったら、30分くらいの演習をしたところで、またすぐに休憩、というようなこともある。
ところで、今日の塾長には、ご主人の海外異動のためクアラルンプールに住んでいる8年来の友人と恵比寿で昼食をする機会があった。
そのとき、その彼女の口から、おもしろい話を聞かされた。
クアラルンプールに居ると、友人と会ったときのことをいつのことだかなかなか思い出せなくなるそうである。
どうしてなのかというと、それは、年中温暖でビーチサンダルに薄着という格好で暮らしている彼女には(そして、その友人の服装に対しても)「あのときあんな服を着ていたからあの季節だった」と行った記憶がなく、体験とその時期を関連づけられる情報がないかららしいのだ。
大変興味深い話である。
この話は、例えば引きこもって勉強している人にとっても何かのヒントになるかもしれない。
一度に似たようなものをたくさん覚えていく際には「時間」「場所」といった区切りも大事だが、「自分がそのとき何を着ているか」といったことも、考慮に入れる価値はあるだろう。
この話は、いずれ達人養成塾のセミナーのどこかの部分に反映させてみたいものだ。
例えば、「ガチャピンやオバQ、ポケモンの着ぐるみをあらかじめ要しておき、セミナーの途中で講師もアシスタントも受講生もみんなでくじびきをし、そこからの2時間くらいは、そのくじ引きで決められた着ぐるみを着て2時間くらい講義をする」などというのも面白いかもしれない(w
1. 良いアイデアです。
着ぐるみと記憶を結びつける。
面白いですね。
学校の先生も世界史の時とかに取り入れて欲しいです(笑)
http://ameblo.jp/yuri1897/