あるセミナーで最近知り合った友人から、以下のようなメールを受け取った。
> 私が英作文でお世話になっているのは
> ↓「××××」というところです。
>
> とても丁寧に添削してくれます。
> でもぜんぜん時間内に書けなくて、B-という評価から一向に上がらず、 ほんとに、道の険しさを感じています。
>
> こねこねさんのサイトを参考に(注:塾長の個人ホームページでは、英検1級受験対策のページも用意している
)、できるところまでやってみようと思います。
> これからもよろしくお願いします。
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英検1級一次試験での英作文の配点は28点と、非常に高い。
その一方、どう書いてよいか分からない、何度試験を受けても高得点を取ることができないという悩みもよく聞かされる。
塾長は、ひところ、英語指導者としても奇人変人としても名高い植田一三先生の塾「アクエアリーズ」で、英検1級1次試験対策クラス、2次試験対策クラスを植田先生と隔週交代で担当していたことがある。当然、受験対策の一環として、英作文の指導もしていた。
そのほか、英検1級スピーチを得意としている「テソーラスハウス」のバックヤードで手伝いをしていたこともある。
今日は、それらの経験も踏まえて、こういった悩みについて答えてみようと思う。
以下のは、最近、ある方のためにポイントとしてまとめたものである。
その方は、「私にとっての鬼門は28点という高配点の英文エッセイです。」と言っていたのだが、その次の試験では、英作文で26点を取ることができた。
もちろん、その方は、最終的には2次試験にも合格している。
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実は、英検対策に限らず、英語スピーチ、英作文で気をつけるべきポイントは、以下の2点だけである。
これから、順に見ていきたい。
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英作文でも、スピーチと同様、安定した成果を出すには、型を持つのがよい。
英検1級ベストアプローチのスピーチの作り方 http://www.konesite.com/eiken/skeleton.html
では、スピーチの型を書いた。
ここではまず、それと比較しながら英作文の型をみてみたい。
スピーチの型は、こんな感じだ。
Introduction
Body
with Reason1, Example1
with Reason2, Example2
Conclusion
ただし、英作文の場合は、自分が意見を述べた後ディスカッションがある二次試験とは違うので、もう少し加工が必要となる。
Introduction
Body
with Reason1, Example1
with Reason2, Example2
Counter to Rebuttal
Conclusion
ありそうな反論を用意し、反駁するステップが加わる。
とはいえ、それだけだ。
以下、英作文の型において、それぞれの箇所で何を書くべきなのか、見ていきたい。
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ここでは、今回お題となっている件は重要である。だから、私はここで一説唱えたい。と書けばOK。
特に問題ないだろう。長くても3センテンスくらいでまとめる。
Bodyの冒頭では、「お題について、私はこう思う」と、テーマに対する自分の立ち位置をハッキリさせる。
なぜなら、ひとことで言えばこういうことだからである。
そう思うのは、私の具体的な体験として、こういうことがあったからである。
(Anecdote。または、FactやStatistics。このあたりは、スピーチの作り方 http://www.konesite.com/eiken/skeleton.html
と同じ)
同様に、Reason2, Example2 とやっていく。
Reason1、Reason2の組み合わせとしてどういうものがふさわしいかについては、スピーチの骨格 http://www.konesite.com/eiken/skeleton.html
の、「海のものと、山のもの」を参照。
確かに、私の立ち位置と違う○○という主張もある。しかし、それは××であろう。
というわけで、私の主張は正しい。世の中は、私の主張するようにあるべきだ。
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まず、この流れを、自分の「型」としてしまう。
型ができてしまえば、あとは課題をその型に落とし込むスキルだけあればよい。
自分の「型」に引きずり込む方法については、「トピックを骨格に落とし込む」を参照されたい。
http://www.konesite.com/eiken/making.html
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続けて、上にあげた「型」に沿って、説得力のないエッセイにありがちな問題を列挙し、その修正ポイントを述べてみよう。
[修正ポイント]
2~3センテンスまでで、ハッキリ書けば良い。
立ち位置がはっきりしない人は、書き出しをこういう感じで始める傾向がある。
・私はどっちでもない
・どっちもいいところがあると思う
・両者のバランスが大切である
[修正ポイント]
立ち位置をとにかくはっきりさせる。採点者はあなたの思想を評価しているのではなく、あなたの英作文力のある一面を数値に換算しようとしているだけなのだ。割り切って取り組むこと。
立ち位置がはっきりしないエッセイ、スピーチを欧米人は好まないが、それは、欧米人に限らない話だ。
日本人でも、インテリは、何を言っているんだか見えない話をだらだらされることを好まない。英検の採点者、試験官も当然それなりにインテリだろうということを加味し、試験官に受ける答案を作成することにフォーカスすること。
立ち位置がはっきりしていない場合は論外だが、立ち位置がはっきりしていても、理由付けが冗長で退屈な場合がある。
[修正ポイント]
Exampleのところで肉付けするので、ここはコンパクトにまとめる。原則1センテンス。せいぜい2センテンスまで。
立ち位置宣言を受けて、このエッセイの今後の流れを読者に予想させられればこの部分の機能は立派に果たされている。比較的ウェイトをかけるのは、この次の理由の肉付け部分と思うこと。
[修正ポイント]
ここは、自分の意見を「肉付け」するところだ。観念論ではなく、魂の入った、実のある話にする。
そのために必要なのは、エトス、パソス、ロゴスを効かせ、具体的なイメージが湧く、実感が持てる、あるいはデータから分かるようなことを書くこと。それができればだらだらした文章は不要。
エトス、パソス、ロゴスについては、以下を参照。
http://www.konesite.com/eiken/topics.html
[修正ポイント]
自分の意見を補強する理由と逆。ここは、反駁すべき対象については観念論にとどめておいた方がやっつけやすい。
十把一絡げにして「それじゃだめだ」と言い切る。反論の問題点をひとつかふたつあげ、「それじゃだめだ。」と書く。そのくらいで十分。
[修正ポイント]
ここでは主張をくり返し、プラス1センテンスくらいまでで何か気の利いたことを書くくらいで十分。それ以上になると冗長。
あまり字数があまるようなら、Exampleのところでもっと肉付けすること。
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英語スピーチ、英作文で日本人が気をつけるべき、もう1つのポイントについて述べておきたい。
それは、簡潔な表現を意識して選択することである。
日本人は、一般的に、物事を片方の立場ではっきり主張することが苦手だ。
それから、特に英検1級受験者くらいになるとは、変に気の効いた表現を使おうとして自滅する傾向がある。
ということで、塾長が指導していたことは、「とにかく、言いたいことをもっとストレートに」というところだ。
主張の内容はストレートに。
そして、イイタイコトを英語にするときも、複文駄文の長文は避け、一文一文を短く、簡潔にしていくことを意識する。
簡潔で無難な表現を心がけたエッセイを書くというのも、ライティングの重要なスキルだ。
それに、試験対策的な現実問題として、簡潔な文章からは採点者は減点しようがない。論理の構成も見えやすくなるので、その点でもますます減点しにくくなる。
もっとも、どうしても長い文章になってしまうようなところ、簡潔なセンテンス2つ3つにリライトできるというのは、実はけっこう力が要る。
実は、無難かつ簡潔なセンテンスの組み合わせで英作文できるかどうかは、普段の英語との触れ方、語い力が如実に表れる部分だったりもする。
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上記2点を意識するだけでも、成果はかなりあがるので、これから英作文の勉強をされるという方には、ぜひ意識してもらいたい。
1. 無題
とっても勉強になりますね!
http://ameblo.jp/magurosen/